出会い

2014年03月16日

祇園精舎の鐘の声

諸行無常の響きあり

沙羅双樹の花の色

盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず

ただ春の世の夢のごとし

出典  平家物語 冒頭  作者不明

この世の全てには始まりがあり、終わりがある。
盛者必衰というのは、栄えるものもいつかは滅びるというものの例えだ。
未来永劫なんてものはこの世にない。
そして、栄えても栄えなくても何事も始まりには終わりがある。
季節毎に変わっていくファッション・流行語・行列のできる店・・・。
人だって必ず死ぬし、人が生きる地球も50億年後には無くなるそうだ。
太陽が巨大化して地球を飲み込んでしまうんだと。50億年なんて果てしないけど。

翻って僕のナンパも終わりを告げた。
地球なんて壮大なものを語っておいて、あまりにちっちゃすぎて恐縮なんだが、
やめてしまった。

正確に言うと、引退し、隠居生活に入ったと表現した方がいいだろうか。
9月に行った台湾ではクラブに毎晩行ってナンパもしたのだが、
そもそも日本では前後数ヶ月はクラブにほとんど行っていない。
「ほとんど」というのが微妙なところで、新宿二丁目やら秋葉原やらのクラブには
ナンパ目的で無く行ってはいる。
これからも、新規の箱が出来ればきっと足を運ぶだろうし、
どこかに面白い箱があると聞けば喜んで行くと思う。
僕はクラブという場所が好きだし、
そこで繰り広げられている人間模様や会話、出会いを見たり体験したりするのが楽しいからだ。
(きっと何かのきっかけでクラブも行くのを止める時がいつか来るだろう。
その時はこのブログも終わりにすると思う。)

ただし、ナンパという点では昔ほどの高揚感は無い。
ナンパのためにクラブに行こうという気が全く無くなってしまったし、
そもそも女の子を抱きたいという欲求が薄くなってしまった。
これからもどこかのクラブに行った時ナンパする雰囲気があれば、きっとする。
もしくは海外のクラブで外国人にトライすることもあるだろう。
裸の女性が目の前にいたら興奮するし、
街中を歩いていたり、カフェで可愛い子がいれば目で追ったりは今でもしている。悲しい男の性。
性欲自体が無くなってしまったわけではない。
そういう意味では完全引退ではないから、隠居という言葉が僕は一番適切だと思っている。

ナンパするのがつまらなくなったという話は台湾旅のプロローグで書かせてもらった通り。
台湾のクラブ放浪を除けば、女性と肉体関係を持たなくなってしまったし、
ナンパ自体してないから女の子と知り合う機会が激減してしまった。
単純に女の子とご飯に行ったり飲みに行ったりすることさえしていない。
所謂、ナンパ用語で言う「アポ」というものが僕の生活から消えた。
昔、関係を持っていた女の子から忘れた頃に連絡があったりもしたが、
仕事が忙しいことを盾にして会うことすら拒んだ。
もう正直口説くために女の子と会うことは億劫なのだ。

最近こういった自分の気持ちについて結論を出そうとしていた。
ナンパをしていた時からずっと考えていたことについて。
「僕の女遊びの終焉はどこにあるのか。旅の終着駅はどこにあるのか。」と。

ブログを始めてからナンパをする男性と沢山関わってきた。
今でさえ、クラブのブログを掲げて記事を書かせてもらってるが、
当初このブログは「御子柴清麿のクラブナンパ忘備録」というタイトルだった。
当初はナンパメインで、どんな女の子と関わってきたかを
フィクションノンフィクション織り交ぜながら日記を書いていた。
そのおかげで、読者の方やTwitter上で知り合った方と現実世界で交流があった。
勿論、辞める人も数多見てきた。
理由は色々。彼女が出来た・結婚することになった・転勤で地方へ・なんとなく・・・。
惰性でナンパすることを続けてる人もいた。
ナンパの先にあるセックスは快感だから、中毒性があってやめられないのだろう。
だけど、自分がどうなるのかは皆目見当もつかなかった。

でも、それは極めて単純なこと。
それは「ナンパに飽きた」ということ。正確に言うと、「女遊びに飽きた」ということ。
陳腐な言葉すぎて、もっとユニークで人を驚かせるような理由だったら面白いのだけれど、
これ以外の言葉は見つからない。あまりに普通だ。
本気で女性とセックスすることに熱量を燃やしてきた自分としては
もっとかっこいい言葉で締めたいのだけど。

飽きてきたのにも理由がある。
クラブで女の子に出会って(別に出会いはクラブで無くても、合コンでも
会社でも学校でも同じだと思うが)連絡先を聞く・ご飯を食べに行く・デートをする。
色恋は使わないで(好きだとか付き合おうとか言わないで)セックスに持って行く。
クラブから持ち帰る時は、僕の場合キスやボディタッチで
女の子の性欲を引き出し、垣間見えたそれらの行き場を僕に向かうように仕向けていた。

簡略化すればこの二パターンしかない。
うまくいく時もあるし、それ以上にうまくいかない時の方が多いけど、
数打ちゃ当たるでこうやって僕は女の子を捕まえてきた。
女遊びする人は大体こんな感じだと思う。
だけど、上記を繰り返して行くうちに同じ行動パターンは飽きてしまう。
女の子だって人の数程性格も顔も違うけど、裸にしてしまえばあまり変わらない。

僕が正常位で向き合う女性が変わるだけでそこには何もない。
心が通じ合ったセックスをしたいとか、セックスをするなら愛する人だけだとか、
思うようになったわけではない。
そんな高尚で正当な論理?を掲げるほど僕は清純ではない。もう十分汚れている。
ただ、おおよそ会って短いスパンでするセックスには、
「精神」でなく、「肉(体)」を抱いている実感だけしかなくて、
女の子とセックスをしても虚しさだけが残ることがナンパ後期には多くあったと思う。
僕は女の子とセックスする時は女の子のバックグラウンド(生き方とか考え方とか)も含めて抱きたいと
思っていたけど、それは短い付き合いの中では掘り下げることなんてできない。
それがナンパという短期間で女の子と関係を持とうとする行為においては達成することはできないところに
違和感を感じていた部分があった。

ナンパをしてクラブの中でキスする時と
ホテルに行って女の子の中に挿入する時が僕は一番好きだった。
快感以上に達成感で自分の脳が焼けるくらい興奮した。
台湾で女の子を抱いた時には、日本人で無い人に手を出したとか、ブログのネタが出来たとか、
別の理由で盛り上がってはいたが、本当の意味では僕は何も興奮していない。
あの頃の情熱はもう無い。

これはセックスしすぎた弊害だと思うが、セックスにありがたみがない。
特に女の子から言わせれば、
自分にリスクが伴うセックスという行為には男よりも高いハードルがあって、
その分気持ちが通ったり男に守られているような充足感があるのだと思う。
(だから、セックスしちゃうと女の子は相手を前より好きになっちゃうんだと思うけど。)
ちなみに、僕に愛する人がいてセックスしても、相手の気持ちは分からないけど、
僕自身は精神的に満足感を得られないと思う。
もしくは、その前段階で好きな人ほど、手を出せなくなってしまうと思う。
それは「好きでもない人とセックスしてきてしまった」慣れから
「セックスする相手は好きでは無い人」という図式が出来てしまい、
つまり、好きな人とはセックスしないという矛盾を抱えることになる。
だって、セックスしたら相手を愛していないことになってしまうのだから。

そんなわけで僕は女性を愛する自信を失ってしまった。

これからはナンパをして修行し成長した時間と同様に、
少しずつ一般人としての正常な男性に戻るような時間を過ごす必要があると思っている。
本来であれば、その一番の療養方法はクラブを完全に断つこと、
そして、このブログを削除してしまうことだと思う。
だけど、今まで長らく自分のルーティンワークとなっているブログを断筆する勇気は無い。
今まで自分の時間を費やして築き上げてきた分量という遺産と
それに伴って僕と交流を持ってくれる読者さんとの繋がりを突然は捨てられない。
だから、慢性のアルコール中毒を治すために一滴も飲ませないよう施設に収容するまでは
いかなくても、タバコを止めるようにニコチンガムでも噛みながら少しずつニコチン含有を減らす様に
クラブとナンパを収束させていく必要があると思っている。

そのためには、未だブログを完成品にするために自分がやりたいことを達成して、
ある程度自分の中で満足感を得られるようにしたいと思う。
僕の場合、このブログの収束も同時に必要だ。

さらっと書いたけど、「女性を愛せない」なんて大層な病気。
少しずつリハビリをしてマトモな男に戻りたいと思う。

・・・今回はちょっと余計なことまで書きすぎたかも。
ただ、ナンパする男性も多く見てくれているから言っておくと、
純粋な興味や好奇心や性欲で女遊びしていると、
どこか自分の知らないところで精神的に支障をきたす可能性があったり、
症状が悪化していることがあったりすることがあるから気を付けたほうがいい。
まぁ、男遊びする女の子も同様だよね、きっと。
昔、読者の女性で「クラブに通い詰めていると、自分の気付かぬうちに夜の雰囲気を纏っている」
って言ってた人がいたけど、それに近い気がします。

ということで、このブログも終盤に入ります。
もう少しだけ皆様お付き合いください。
今後のテーマは「未踏の地を舐る」かな。
とにかく行ったことのないクラブに行ってみたいと思っています。
ブログのタイトルも変えようかなと思案中。
「御子柴清麿のクラブ放浪記 ~ROAD TO IBIZA!~」とか。どうですか?笑

今回は真面目な話をしてしまいましたが、
引き続き皆様にささやかな笑いを提供できるように頑張ります。
当ブログを今後ともよろしくお願いします。 

※この記事にコメントしてくれているyyさんという女性が
女性目線でのナンパ・男遊び生活の終焉を少しだけ語ってくれています。
気になる人は見てみてください。

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ナンパあんてな 

14:15│コメント(21)このエントリーをはてなブックマークに追加

2014年01月29日

クラブ日記No.112からの続き。
No.112では台湾に僕と一緒に行った竜さんの視点で、
台北のクラブLAVAにてナンパした記事を書かせてもらいました。
今回はその続き。さてさて、結末はどうなるか・・・
ナンパする男性にとって最終決着は体の関係を持つことだから、
果たしてそこまでいけるかどうか、ご注目です。

LAVA竜の兄貴
※竜の兄貴はこんな感じの人。

9月某土曜日(台湾滞在3日目) 25時~ @LAVA  from side-Dragon

LAVAに入って一時間、二軒目のクラブと言うこともあって少々疲れた俺はダンスフロアの雑踏を後にし、
一杯飲みながら一休みすることにした。
ある程度アルコールを補給しながら、ナンパする士気を高めに維持しなければ朝まで持たない。
途中、御子柴さんがウロウロしていたが、何も言わずに放置。
彼は泳ぐのを止めると死んでしまうマグロのように一晩中クラブを回遊し続けるから大したものだ。
日本のクラブでは、ひどい時には一杯もドリンクを飲まないで歩き回り、
朝方になって「このドリンクチケット余ったのであげます。」と言ってくることがままある。
水分補給なしに歩き続ける姿はストイックさに尊敬というよりも、ちょっと呆れる。
42.195kmを走るランナーだって2時間ちょっとの競技中に水を飲むのに、彼は一滴も飲まない。
たぶん御子柴さんならアラブの国のちょっとした砂漠ならおおよそ手ぶらで渡り切ってしまうだろう。

LAVAバー刊

そんなことを考えながら、ビールを口にしていると、バーカウンターで一人で佇む女性を発見する。
バーカウンターに肘をつきながら黄昏るように何かを考えているようだ。
ミラーボールのライトが彼女の背中を照らし、
正面からはバーカウンターで反射された光が彼女の顔を赤く染める。
綺麗だ。クラブマジックでは決してなく、遠目から見ても絶対綺麗だ。
あまちゃんに出てくる「有村架純」に似ている清純系。
俺の視線に気付いたのか、俺を一瞥すると気まずそうに目をそらす。
俺は一瞬戸惑ったが、この機会を逃してはいけないと自分に言い聞かせ、
数メートルあった「架純ちゃん」との間を数歩歩き近づき、思い切って話しかける。
「晩上好!(ワンシャンハオ)」
フフフと笑った顔がとても可愛い。悪戯な笑顔がまぶしすぎるぜ。
あまりの可愛さに俺は次の言葉が出てこなくなった。
えーっと、何を俺は話せばいいんだ・・・勢いだけで行くのはまずかったか・・・えーっと・・・
首をかしげる彼女に錯乱した俺は何故か「I'm Japanese.」と説明してしまった。
自分でもなぜ日本人だと言ったのかは分からない。今思い出してもちょっと恥ずかしい。
自己紹介の意味も込めて、そして「日本人」と言ったら食いつくかもという若干の邪な期待も込めて
ついつい出てしまった言葉だった。
言った後、しまった!と思ったが、彼女は「えっ!そうなの?旅行なの?」と俺の言葉を受けてくれた。
そこそこ英語が出来るようで、俺の不自由な英語も彼女は汲み取ってくれる。
俺は頑張って身振り手振りで話をつなぎ、30年弱の人生で一番英語を駆使していた。
英語の聞き取りは出来ないのに俺は必死になった。
学生の頃これくらい必死に勉強していたらきっと英語の成績もよかったろうに。
そして、少しずつ彼女の置かれている状況を理解していく。
彼女の名前はスージー。台北に住む23歳の社会人。彼女は言う。
「クラブが好きで良く来るの。今日は友達の男の子二人と。
だけど、男の子二人は私を置いてどこかへ行っちゃった。
いつものことだから、別にいいけどー。踊り疲れて休んでたところにあなたが話しかけてきたのよ。」
なるほど、日本だったらナンパが難しいパターン。男連れは真性クラバーのため、ナンパには向かない。
だけど、この後も30分一生懸命話を続けた。
日本で住んでいる場所、日本での仕事のこと、今は旅行で遊びに来ていること、
台湾の料理が美味しいこと、台湾のクラブが楽しいこと、友人がマグロと化していること・・・。
彼女からも家族や仕事の話や今日一緒に来ている友達のことを聞く。

話をして和んだ後、「一緒に踊ろうよ」と手を引き、ダンスフロアに。
手をつないだ瞬間どんな反応をするかと思ったが、
やっぱり薄く微笑みながら嫌そうなそぶりは見せなかった。
これはいけると思っていいのか!俺のボルテージは少しずつ高まっていく。
ダンスフロアでも手をつないだまま踊る。
手のつなぎ方もいつの間にか指を絡ませる恋人つなぎになっていた。
俺は音楽に身を任せながらこの後の展開を思考する。
やっぱり、ホテルまで連れて帰りたい。それにはまずこのクラブを出なければ。
途中、一匹のマグロが未だに回遊しているのを見かけながら考える。
昨日一昨日とあのマグロは女の子に「ホテルに行こう」とはっきり言ったらしい。
ただ、今の俺のこの状況ではさすがに不自然すぎるだろう。
だから、一旦クラブに出て休むことをスージーに提案する。
「俺の友達が他のクラブに居るらしいから、一緒に行ってみない?」
俺の言っていることが伝わったかどうかかなり不安だったが、とりあえずOKの返事をもらい、外へと向かう。
外で立ち話をして頃合いを見てホテルに連れ帰るつもりだった。
この時点で2時。良い時間だ。
スージーの手を離さないまま、出口へ向かう。すると、マグロの人とすれ違う。
俺は2時の待ち合わせをすっかり忘れていた。
(携帯がつながらないので、一度2時に入口に集合しようということになっていた・・・)
御子柴さんは俺を完全にシカトし、どこかへと消えようとしている。
慌てて制止すると、「話しかけてくれるな」とばかりに睨みつけ、
実際「なんで話しかけてくるんですか?僕は無視してうまくやってください。」と言う。
彼女には「友達が他のクラブにいる」と言った手前、
御子柴さん(友達)がここにいたら話がおかしくなると思い、
御子柴さんに通訳をお願いする。「一旦クラブを出て外で休もう。」と伝えてくれと。
彼女は「OK」と一応言うが、御子柴さんも「?」、彼女も「?」、
二人してよく分からない状況になっており、ただ、混乱に乗じて外に出ることに成功した。

LAVAを出て、コンビニでペットボトルのお茶を二人で買って、
LAVAが入っているモールの入口の広間に二人で腰かける。
周りはクラブに疲れた若者たちがタムロしている。
台湾のクラブは再入場可だから、こうやって中と外を行き来できる。
クラブで立ちっぱなしで疲れたなら外で休むことが可能。
そんな周りに人がいる中でスージーの手を取りながら、クラブの中でした話を続ける。
ここなら、クラブの音に邪魔されずゆっくり話が出来そう。

一日目に九份に行ったこと、九份が日本映画の「千と千尋の神隠し」で有名なこと、
龍山寺の美しさに感動したこと、スージーの美しさにも感動したこと、
昨日Luxyに行ったこと、Luxy Girlが可愛かったこと、今日会ったスージーの笑顔も可愛かったこと、
そして、友人が今もマグロと化して泳ぎ続けているだろうこと・・・。

何かにつけて彼女を褒めるのを俺は忘れなかった。
スージーが照れながら「そんなことない」と言うのが俺の心をくすぐった。
俺は次第に彼女に引き込まれ、もっと彼女のことを知りたいと思ったし、あわよくば一緒に寝たいと思った。
彼女の気持ちは正直分からないが、俺の話を飽きもせず長い間聞いてくれるし、
彼女も自分の友達や家族のこと、仕事のことを英語のあまり分からない俺に必死に伝えようとしてくれる。
食いつきという言葉は適切ではないが、多少は刺さっている気がしないでもない。
だから、正直にこの後も一緒に居たいと申し出た。
だけど、彼女は言う。今日は友達と来ているから一緒には行けないと・・・。

俺の戦いは潔いくらいスパッと幕を閉じた。
時間は3時半、気付いたらクラブを出て1時間半も経っていた。
やっぱり俺の力では即は無理だった。
和むところまでは行ったがもうひと押しが足りなかったようだ。頑張ってみたんだけどなぁ。
まだ日が昇る時間には早いが、空を見上げると少しずつ暗さが薄れていく。
冷たい空気を思い切り吸い込んだ時、六本木でナンパに失敗して帰る朝を思い出していた。
場所がどこでもこの味は同じだ。
モヤモヤした自分の心とは裏腹に澄んだ空気が妙に美味しく、いつも俺の心を溶かしていく。
これが自分の実力だから仕方ない。悔しいが完敗だ。

彼女は座りながら俺の肩に顔を乗せ、ウトウトし始める。
勝負には負けたが、台湾女子の可愛い寝顔を見れたから良しとしよう。
敗北を認めたら、少し気持ちが晴れた。

すると、どこぞのマグロが回遊を終えて、LAVAから出てきた。
足取りは軽やかに、そして若干バカにした笑い顔で、遠くからこちらをジロジロ見ている。
恐らく俺達の様子が気になるのだろう。
「ダメだった」と伝えたかったが、彼女が俺の肩で寝ている手前、ここからは動けない。
その様子を見た御子柴さんは完全に勘違いして、親指を思い切り立てながら去って行った。
いや、違うんだけど・・・。

数分後、スージーが起きだす。「ちょっと寝ちゃったみたい。ごめんね。」
「Ryuと一緒に居ると落ち着くね。」寝ぼけた顔で言ってくれるのが嬉しい。
だけど、俺は負けた男だ。そろそろ別れを言わなきゃ。
御子柴さんを追いかけて、作り笑顔で「ダメでした!」と元気よく言おう。
御子柴さんは自分だけ女の子がいいことがあったことにきっと引け目を感じるだろうから。
本音は悔しいけど、御子柴さんに気付かれないようにしないと。

色々考えていると、スージーは言う。
「Ryuは明日まで台北に居るんでしょ?今日ご飯食べに行こうよ。」
「昼間は仕事があるけど、夜が空いてる。Ryuは?」

勿論空いていると答える。突然の彼女からの誘いに驚きを隠せない。
これは所謂デート・・・ということか?

また連絡するということでLINEのIDを交換。
タイミングよく、友達の男の子二人が現れ、お別れ。
男の子二人に挟まれて帰っていく後姿をボーっと見ていると、
スージーが振り向いて手を振ってくれる。
俺はあまりの急展開に茫然とし、その場に立ち尽くした。
少しだけ可能性が残っている・・・。

不甲斐ないことに、残念ながら女の子を持ち帰ることができなかった。
所謂「即」れなかった。そして、意思疎通の難しい女性との「準即」狙いのアポになった。
あまりにハードルが高すぎる。可能性はとてつもなく低い。

ただ、全てをあきらめていた地獄に垂らされた糸を俺は掴んだ。
果たして俺は天国に行けるのか・・・。

既に御子柴さんが帰っているだろうホテルに一人で戻り、
御子柴さんの部屋の前で合掌をして部屋に戻る。
御子柴さんは応援してくれていたし、俺の報告を心待ちにしていたから非常に申し訳なかった。
あとちょっとだった・・・この思いがどうしてもぬぐえない。
スージーは俺に気があるようだったし、強引にでも引っ張ってくればよかったか。
彼女ならそれを受け入れてくれそうな気がした。だけど、品の無い強引さは嫌いだ。
日本で女遊びをしてきた俺だけど、さすがに女性に対して失礼なことはしない。
そういった点では御子柴さんと考えが似ているところで、
今回もこうやって旅行に行くくらいの距離感に彼がいるのも
女性に対するスタンスが似通っているからだと思っている。

先ほどのクラブでのスージーとのやり取りを考えると、なんとももどかしい。
オールしたのにとても寝る気にはならない。
気晴らしにテレビをつけてみると、現地のオーディション番組が放送されている。
おばちゃんが歌謡曲を歌いあげているが、右側に書かれている言葉を見て衝撃を受けた。
BlogPaint
「即失敗」・・・。
えーえー、失敗したさ。何が悪い。
俺を嘲るように「即」(女の子と出会った後すぐに関係を持つ事)に「失敗」という文字が映し出されている。

胸糞悪い気分になったので、テレビを消し、
白く皺のないピンと張った清潔感のあるシートに身を横たえ、毛布を頭からかぶる。
このベッドにスージーと寝るはずだったのに・・・。
悔しさでいっぱいだ。
だけど、逆転の余地が全くないわけではない。
明日になったら御子柴さんに相談してみよう。
あの人なら奇策を持っているはずだ・・・。

台湾滞在4日目昼~夜 @台北市内 

昼過ぎにLINEで御子柴さんから連絡が入る。
「そろそろ出かけますか?」
この日は故宮博物館と士林夜市をまわる予定だった。
御子柴さんの部屋を訪ねると、
変態ニヤケ男がこの上なくニヤニヤしながら「昨日はどうでした?」と聞いてくる。
なんだか腹が立ったけど、正直に「いやー、ダメでしたね・・・。」と答えると、
変態ニヤケ男はかなり衝撃を受け、
「えっ!なんかうまくいきそうだったじゃないですか。え?なんで?」
俺は顛末を説明する。
御子柴さんは話を聞き、変態ニヤケ男から変態ショボーン男になり、
俺の残念な気持ちを共有してくれた。
変態には違いないが、意外に情に厚い男なのだ。
しかし、まだ今日もう一度会うことになるかもしれないと伝えると、
晴れやかにパーッとした表情になり、一気にまくしたてる。
「一体いつ会うんだ?今からか?夜か?」
「どこで会うんだ?レストランか?カフェか?バーか?」
「僕と出かけてる場合じゃない。用意をしなけりゃ。」
「なんなら僕もそのアポに行こう。」と錯乱し始めたので止めておいた。

御子柴さんと故宮博物館に向かう。
行く途中に、スージーに連絡し、本当に今日会えるかどうか確認する。
英語が不自由なので、携帯の翻訳アプリを使って日本語を中国語に変換した文章と、
日本語を英語に変換した文章を併記してLINEする。
基本、クラブで会った子との連絡は台湾でも変わらない。
「昨日は一緒に居てくれてありがとう。とても楽しかったよ。」
既読のマークがすぐに表示され、返答を待つ。
LINEする→既読のマーク表示→「おっ!読んだ」→全然返事来ない。
→やっぱりダメだったかー。のパターンにならないように祈る。
数分後、「こちらこそありがとう。私も楽しかった!」との返答。
第一関門突破。既読無視というのも十分に考えられるのだから。
早速、昨日言ってた食事の件を打診したかったが、
焦りは禁物と何気ないやりとりを。
それにしてもこの翻訳アプリは気を遣う。
スージーから送られてくる中国語も、読み取れないくらいに文法がめちゃくちゃな日本語に変換されてるし、
こちらの意図が伝わるか非常に心配になる。
だから、「それってマジ面白いね~(^ ^)」という言葉も
敢えて「それは本当に面白いことですね。」といった具合に、
アプリの頭の悪さ(翻訳機能の不正確さ)を計算した言葉を作り上げる。
せっかくのチャンスを不意にするわけにはいかない。
何かの間違いで変な下ネタとかに訳されたらたまらない。

故宮博物館は世界四大博物館に数えられている有名観光スポットのため、
無料Wi-Fiがつながり、LINEでのやり取りが可能だったのがありがたかった。
なんとか19時から会おうということになったので、御子柴さんに報告する。
御子柴さんは俺の携帯をチラ見し、
「スージーは竜さんに気があるようですね。」と言う。
確かに昨日の会話は勿論、このLINEのやり取りも俺を真似て、
中国語+日本の二か国語でメッセージを送ってくれる。
きっと俺と同じように言語変換アプリを使っているのだろう。
「普通女の子はそこまでしませんよ。
気があるからそんな面倒なことしてくれるんじゃないですかねぇ。」
期待感溢れる言葉をくれる御子柴さん。コイツ、たまにはいいこと言うな。

その後も士林夜市に出かけるが正直気が気でないため、観光に身が入らない。
結局、台北最大の夜市で何も食べることなく、何も買うことなく、後にする。
この時点で17時過ぎ、一度ホテルに帰ってシャワーを浴びて、アポに備えたい。
御子柴さんとタクシーに乗り込む。
(このタクシーが不運で、運転手は全く道が分からない素人で
御子柴さんと俺で指さしをしながらホテルまで運転することになった。)

ホテルに着き、時間もギリギリになってしまったが、シャワーくらい浴びる時間はあるだろう。
部屋に入る時、御子柴さんに「女の子に会う前に僕の部屋に立ち寄ってくれませんか?」
「渡したいものがあるんです・・・。」と言う。
何か特別な秘密兵器でもあるのだろうか。

俺は根拠のない御子柴さんのニヤケ顔を頼もしく感じ、
シャワーを浴びた後、御子柴さんの部屋をノックするのだった・・・。

(つづく)
 
↓相方の準則奮闘記第二弾でした。試合はもつれて延長戦へ。
もう少しだけ話は続きます。乞うご期待です。
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ナンパあんてな 


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